ホワイトデーで「マシュマロだけ」を使って気持ちを伝える方法
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 たとえ君がチョコが苦手だろうと、彼女はチョコをよこしてくる。それがバレンタインデー。それに対して、君の財布がやせ細っていようと、彼女の喜ぶものを返さなければならない。それがホワイトデーである。今ではそんな、不平等な日としての印象が強いかもしれないが、元はといえばホワイトデーは、マシュマロやキャンディをお返しする日であった。

 しかし、現在ではマシュマロとキャンディは格差社会の中で生きている。なぜか、マシュマロは「あなたが嫌いです」を意味するという階級を、キャンディは「あなたが好きです」を意味するという階級をそれぞれ与えられているのだ。マシュマロの方が原価が高いのに、意味がわからない。マシュマロがかわいそうである。

 かくして、マシュマロへの同情心から湧き出る涙が床下浸水を引き起こしかねないレベルに達した筆者は、マシュマロを科学的に変化させて作った”3形態の進化系マシュマロ”に、ホワイトデーのお返しとしての新たな意味を付加することにした。これからホワイトデーを迎える諸君は、ぜひ参考にしてほしい。

マシュマロは3段階に変化する

 筆者は、今から、マシュマロを3種類のデザートに変化させて、それらがホワイトデーのお返しとしてどんな意味を持つかを述べてゆく。

 マシュマロは、水と電子レンジを使うだけで、3種類のデザートに変化させることができると知られている。ゼリー、ムース、ゼリー&ムース&(2層)の3種類である。なぜこうなるかは、マシュマロの構造に秘密があると考えられる。

 マシュマロの作り方は大まかに、泡立てた卵白に、熱々にした水あめを加え、水で戻したゼラチンとしっかり混ぜて冷やして固める、というものである。卵白に含まれるタンパク質は、泡立ちをキープする性質を持っており、水あめに含まれる砂糖が加わることで、より強固な泡になる。また、水で戻したゼラチンはいわゆる「ゾル」という状態であり、これを冷却することで、ゼラチン中のタンパク質同士がより強く手をつなぎ、ぷるんぷるんの「ゲル」になる。

 要約すると、マシュマロは、

・卵白+砂糖による、空気を含む泡構造
・ゼラチンによる、ゲル構造

による複雑な構造によって、ふわっともっちりな独特のマシュマロ食感が作り出されているのである。

 ここに水と電子レンジが参入すると、何が起こるのか。ここからは、話をホワイトデーに戻しながら見ていこう。

 

(1)マシュマロからムース:「君の全てを受け入れる(俺についてこい)」

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 マシュマロ20gに、水8gを入れて、電子レンジで30秒ほどチンをして、マドラーや箸の先っぽでかき混ぜる。すると、マシュマロの水分吸収と、電子レンジの熱の存在によって、マシュマロの泡構造とゲル構造が少しだけ緩む。ただし、どちらの構造も完全には壊れないため、マシュマロらしさは維持されたまま、ムースっぽいものができあがる。

 マシュマロを君、彼女を水だとすれば、これは、完全に君が彼女を包み込んでいるという構造になる。つまり、マシュマロからムースとは、

「君の全てを受け入れる」という寛容な姿勢
または、
「俺についてこい」という完全に自分のペースにのせる気満々である姿勢
を意味することになる。

 いずれにせよ少々のナルシスト感は否めないが、自信に満ち溢れてみえるほうがきっと彼女もついてくるはずである。

 

(2)マシュマロからムース&ゼリー(2層):「共依存しよう」

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 マシュマロ20gに、水15gを入れて、電子レンジで1分ほどチンをする。すると、上下で分離していることに気づく。マドラーや箸の先っぽでかき混ぜても、今度は混ざらず分離し続ける。この時は、ゼラチンのゲル構造が壊れてゾルに戻っているが、泡構造はまだ維持されている状態だと考えられる。ゼラチンの融点は25〜32°C程度だが、泡構造が壊れるには、泡構造を覆っている卵白のタンパク質の状態を変える必要(@もっと高い温度)があると思われるため、ゲルが先に壊れるのだ。ゾル部分はねっとりしていて密度も高いのに対し、上部の泡構造は軽く、空気を多く含んでいる。ゆえに混ざらない。プールに浮き輪が沈まないのと同じような現象が起きるのだ。

 これは、君(マシュマロ)の一部(ゼラチン成分)を彼女(水)に預けてはいるものの、彼女と君はいつまでも分離している様子を示している。彼女から「二人で一つになろう」と迫られても逃げたくなる君しかし、君も彼女も、お互いがいないとこの2層が成り立たず、離れることができない

 まさに、回避依存的な恋愛パターンそのものである。メンヘラはネットでは叩かれがちな存在であるが、メンヘラはメンヘラ同士無条件に惹かれ合うもの。最初から「共依存しよう」とストレートに宣言するのも悪くないかもしれない。(なお写真でも、共依存の不安定さを表現するために斜めの容器を利用した。)

 

(3)マシュマロからゼリー:「尻にしかれたい」

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 マシュマロ20gに、水25gを入れて、電子レンジで2分ほどチンをする。するとどうだろう。まず30秒後ほどでは、「マシュマロからムース」の時のように、ゲル構造と泡構造がゆるみはじめた様子が観察できる。

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 さらにチンを続けること1分。「マシュマロからムース&ゼリー(2層)」の時のような、混ぜても混ざらない、分離した状態が現れる。

 そのままチンをし続けると…ある瞬間から、完全に混ざるのだ!

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 この時、ゲル構造と泡構造の両方が壊れているマシュマロの成分が完全に水に溶けることができる状態になったのだ。

 これはすなわち、君(マシュマロ)は彼女(水)と、彼女からの熱烈なアプローチ(※電子レンジの熱)によって完全にKOされた状態である。こうなるともう、君に残された道は一つ。そう、彼女の尻にしかれる、である。恋愛とは、愛情が強い方が劣勢となる戦いだ。君の負けである。でも、好きな人と居られるのはきっと幸せなことだ。それに、元々尻にしかれるのが嬉しい人も一定数いる。「尻にしいてください」。そんなマゾみな思いを真摯に伝えるのも、ホワイトデーの醍醐味だろう。

 このように、「あなたが嫌いです」だったはずのマシュマロも、ちょっとした変化を起こすことで、いろんなパターンの「あなたが好きです」に変えることができるのである。しかも、どのように好きなのかを明確に主張できる点が、これまでにはないメリットである。それぞれ自分にあった恋愛スタイルを選ぶときっと幸せになれるだろう。

 彼女へのお返しに悩んでいる人や、気持ちをはっきりと伝えることに抵抗があるシャイな人は、マシュマロを変化させた手作りデザートをプレゼントして気持ちを伝えてみてはいかがだろうか。

 なお、女性の読者が、得体の知れない自作マシュマロデザートをもらった際には、怒りの熱量でそのデザートを完全蒸発させる前に、この記事を思い出し、彼の繊細な感情を読み取ってあげよう。

 (※本記事はネタ記事です。プレゼント選びにはくれぐれも注意して、トラブルのないホワイトデーをお過ごしください!)

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

 

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