まったくインスタ映えしない!科学を使ってグラデーションカップケーキを作ってみた
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 こんにちは。OPENLAB Review編集長の大嶋です。

 BAKEの新商品開発チームの一員、およびメディア編集長として、数々のフードサイエンス文献を読み漁っていたある日、ふと思いました。

「食界隈の、でんじろう先生になりたい。」

Google翻訳にかけると、こういうことです。

「リカジッケン ッポイ オカシヅクリ ヲ シテミタイ!」

 そこで、まずは国内外の先人たちが行ってきた理科実験動画を見て、「理科実験っぽさとは何か」についてのコンセンサス抽出作業に入りました。当方の母集団偏りまくりの統計の結果、得られた解は以下の3点です。

・色が変わる!(by酸性・アルカリ性)
・浮く!(by静電気・比重の違い)
・消える!(by屈折)

 「マジックグッズの謳い文句かよ」と、今静かにセルフツッコミを入れました寂しいです。この3つのうち、さすがにお菓子を浮かしていたら不思議ちゃん扱いは不可避(教祖扱いなら歓迎)。そして、いくらでも編集可能な記事という形式でお菓子を「消した」ことを報告しても、「観測できないものは存在しない」と一蹴されるのがオチです。

 そこで今回は、理科実験の王道「色が変わる!」を使って、お菓子作りに挑戦しました。

Mission:グラデーションカップケーキを作る

 幼き頃、紫キャベツ液の色を変えて遊んだことがある人はいらっしゃいますか。食品中の物質で、酸性・アルカリ性で色が変わる代表といえば、紫キャベツやブルーベリーに含まれている「アントシアニン」です。アントシアニンは基本的には赤紫色ですが、酸性に近づくと赤っぽく、アルカリ性に近づくと青っぽくなります。

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(画像:http://www.kiriya-chem.co.jp/tennen/imo.htmlよりキャプチャー)

 色が変わるお菓子作りのフォトジェニックで素晴らしき先行研究はないかと探していると、youtuberの妄想グルメさん(@mosogourmet)の動画に出会いました。妄想グルメさんは動画で、同じくアントシアニンを含む紫芋のパウダーを使って同様の原理で色を変え、紫と緑のサイケデリックなカップケーキを作られています。

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(画像:妄想グルメさんの投稿 https://www.youtube.com/watch?v=L3H3e87_jlU よりキャプチャー)

 きっと綺麗に撮るために何度も何度もお腹を壊し食傷しながら作り直したであろうその涙ぐましい努力に私は敬意を払わずにはいられませんでした。そこで、こちらを応用する形で、「グラデーションカップケーキ」に挑戦することにしました。

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◎実験開始

 まずは色が変わるポイントオブノーリターンな工程の手前まで、動画に記されたレシピ通りに進めていきます。今回は後の工程のために、材料の全てを2倍量で実施します。

 ボウルに薄力粉200gと紫芋パウダー30gを入れ、よく混ぜます。

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次にホワイトチョコレート80gをチンして温めたものに牛乳240gを加え、さらにチンして両者を混ぜ合わせます。

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別のボウルで、常温に戻しておいたバター120gと、砂糖120gを混ぜ合わせます。

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上記3つを混ぜ合わせ、生地を完成させます。

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あとは、ケーキを膨らませる役割を持つ、ベーキングパウダーまたは重曹を加え、蒸すだけです。

 ここで「説明しよう!」という定番台詞を脳内再生させてください。先ほど、紫芋のアントシアニンは、酸性・アルカリ性で色が変わると申しました。今から一番のポイントを述べます。それは、

ベーキングパウダーは中性で、重曹はアルカリ性である

つまり、

ベーキングパウダーを混ぜた場合は紫色のまま、重曹を混ぜた場合は青っぽい色に近づく

ということです。

 妄想グルメさんのレシピでは、先の生地を半量ずつに分けた後、ベーキングパウダーと重曹をそれぞれ2gずつ加え、紫と緑を作り出しています。

 この部分を発展させ、重曹の割合と色の関係を調べながら、グラデーションにすることに挑戦します。

◎重曹とpHと生地色のカンケイ

 ここで私は、四次元ポケットならぬただの白衣のポケットからアイテムを取り出します。

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ペーハーしーけーんーしーぃー!

一人でドラえもんの真似をするのはとても虚しかったのでオススメしません。

 これを使って、重曹の割合の増加に伴う、pH(ペーハー:酸性・アルカリ性の度合い)の変化と、生地の色を観察してみたいと思います。元ネタである妄想グルメさんのレシピでは、約200g中に2g、すなわち約1%の重曹を加えています。今回の検証では、生地50g中に重曹が0.1g(0.2%)、0.25g(0.5%)、0.5g(1%)%、1g(2%)、2.5g(5%)となるように行ってみます。

 まずは何も入れない生地にpH試験紙をぶっさします。

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pH試験紙は黄色いまま。すなわち、中性です。

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 次に、ベーキングパウダーを1%(0.5g)加えたサンプルを用意し、同様にpH試験紙をぶっさします。

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同じく黄色。中性であることが確認できました。ベーキングパウダーは色を変えないことが確認できました。

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 そして色を変化させる張本人、重曹を加えていきます。
重層の割合を変えたサンプルをそれぞれ用意し、pH試験紙を溺れさせました。その結果がこちらです。

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どうでしょう。重曹の量が増えるごとに色は濃い緑になっていき、pH試験紙の示すアルカリ性の度合いも強くなっていることがわかります。目視の範囲で、ベーキングパウダーはpH7付近、重曹を2.5g加えた一番濃いものがpH9〜10付近に見えます。

これならグラデーションカップケーキが作れそう!最終工程に入りましょう。

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カップケーキの型と、グラデーションが分かりやすいように透明の容器のそれぞれに、6種類の生地を重層します。現段階ではグラデーション風にはなっていますね。

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そして蒸します。蒸し器がないので鍋で代用。20分ほど待ちます。待ちますよ。待ってくださいね。

◎グラデーションはできたのか?

 20分ほど経つと、竹串を刺してドロっとしたものが付着してこなくなったので、完成とみなしました。まずは透明な方を見てみましょう。

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やや表面に焼き色がついてしまったようですが、グラデーションが保たれています!(どちらかといえば地層っぽい…)

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これはカップケーキ型に入れたものも期待が持てます。型を破いてみましょう。

・・・・・

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 こ、これは…グ、グラデ…いや地層?…いや、グラデーションカップケーキ(仮)が完成している!!!

 これはインスタ映え必至です。友達の数が負の無限大に発散気味な私でも、インスタが勝手にオススメ一覧に載せ、突然のいいね砲が引き起こること間違いなしです。

えっ 味?味は、もちろん…

緑が濃い部分は苦くてたまらないよ!!!(※重層は苦い)

 以上で実験は終了です。でんじろう先生のような派手な実験を行うにはまだまだ遠いですが、ひとまず理科実験っぽいお菓子作りをすることには成功しました!今後もちょくちょく真面目な記事の合間にネット弁慶テンションで実験記事を挟んでまいりますので、応援いただけますと大変嬉しいです(ぺこり)。

 今回(勝手に)実験の参考にさせて頂きました妄想グルメさんのYoutubeチャンネルやSNSはこちらです!

・Youtubeチャンネル:MosoGourmet 妄想グルメ
・Twitter:@mosogourmet
・Facebookページ:妄想グルメ(mousogourmet)

 

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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