香り成分で相性の良い食べ合わせを提案するアプリ「Foodpairing」を試してみた
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 食べ物の相性の良し悪しは経験で判断されてきましたが、実はそうした相性は、科学的に根拠がある場合があります。アメリカのFoodpairing社のアプリ「Foodpairing(R)」は、化学物質レベルで相性の良い材料の組み合わせを提案してくれます。Foodpairing(R)を実際に使いながら、珍しい組み合わせが本当においしいかどうかを試してみましょう。

Foodpairingアプリでできること

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(画像:https://www.foodpairing.com/より)

 人が味を認知するのは舌(味覚)であると思いがちですが、実はその貢献度は20%程度。残りの80%は、香り(嗅覚)によるものです。この時の香りとは、外から嗅ぐ香りと、食べ物を口に含んだ時に鼻に立ち上る香りの2種類のことを指します。

 Foodpairing(R)は、食べ物の香りの成分に基づいて食材をペアリングします。これまでの研究で、「同じ化学物質を共有する同士」「全く異なる化学物質を持つ同士」など、相性の良い組み合わせには化学物質レベルでの決まりごとがあることがわかってきました。Foodpairing社では、「GS-MS」といった方法を用いて食材にどの化学物質が含まれているかを見つけ、人がそれらをどのような香りとして感じるかを、食材ごとに明らかにしています。さらに、これらのデータベースに数学的な手法を使い、相性の良い食べ合わせの提案を可能としています。

実際に使ってみた

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 それでは実際に、Foodpairing(R)(https://inspire.foodpairing.com/)を使って、アプリが提案した組み合わせを味わってみたいと思います。

1)トースト+フライドポテト+グリュイエールチーズ

 ザ・炭水化物とも言える、トーストとポテトの組み合わせ。日常ではあまり見かけませんね。ここに産地指定の「グリュイエールチーズ」というスイスのチーズが加わることで、劇的な変化が起こるのでしょうか。

cheese(1)

 ひとまずトーストを焼き、市販のフライドポテトをのせ、さらにグリュイエールチーズをのせ、溶かしてみました。「チーズポテトトースト」とでも名付けられそうです。味は、相性が悪くはないと思いますが、いまいちパッとしません。チーズの量が少なかったのか、味の輪郭がはっきりしない印象です。ポテトとパンのやんわりとした甘味に対し、マヨネーズやケチャップのような大味が欲しくなります。

2)コーヒー+煎茶

 欧米と日本のブレイクタイムを無理やり統一するような組み合わせですね。コーヒーで煎茶を割ることも、その逆も、まず考えたことはなかったのではないでしょうか。

煎茶コーヒー(1)

 そこで煎茶とコーヒーをそれぞれ1:1の割合で混ぜてみました。そこで、コーヒーに少しずつ煎茶を加えていきながら、割合を変えて味わってみました。味は、まずくはないですが、何者であるかがはっきりわからないような不思議な味になりました。強いて似ているものがあるとしたら、ウーロン茶でしょうか。人の好き嫌いの判断には、「それが何者であるか」を理解しているという前提があると思います。たとえば、美術に全く知識のない人が、誰でも描けそうな抽象的な絵画を見ても、その価値を判断できない。そんな体験に似ています。

3)ダークチョコ+しょうゆ、ミルクチョコ+味噌

 さらに、チョコに革命を起こすべく、ダークチョコとミルクチョコに日本の調味料を添加するペアリングを試してみました。ありそうでなかった組み合わせですね。

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 ダークチョコはしょうゆが加わることで、しょうゆのピリ辛感が際立ち、アクセントになります。芳醇になり、大人な味わいに変化しました。ダークチョコだからこそ為せる味わいだと感じました。一方で、ミルクチョコと味噌は、噛み始めは味噌とチョコに分断されているのですが、噛んでいるうちに口の中で両者が混じりあうと、確かに相性が良いと思えてきます。チョコがより濃厚になり、味噌の旨味や塩味が、チョコの甘味を引き立てるのです。どちらも、もう少し調味料の加え方を工夫すれば、十分「アリ」な組み合わせだと感じました。

4)スイートコーン+ポップコーン+セサミシード

 ポップコーンに弾け損ねたコーンが紛れ込んでいることはあれど、生のコーン自体が混ざっていることはほとんどありませんね。両者をゴマとともに混ぜ合わせると、どんな味わいになるのでしょうか。

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 ポップコーンとゴマは合います。スイートコーンとゴマも合います。ポップコーンとスイートコーンは、確かに元が同じだけあって、味が干渉しません。しかし、決定的な欠点があります。乾いているポップコーンに対し、水分を含むスイートコーンを一緒にすると、ポップコーンが濡れたような感じになり、軽い食感が消えるのです。乾いてるとも濡れてるとも言い難い、なんとも言えないネチャっとした食感になってしまいます。味が良いことは確かなのですが、味以外の要素も大切であることを思い知らされました。コーンを炒って水分を飛ばすなどした方が良いのかもしれません。

5)生クリーム+ベーコン

 最後に、生クリームをまさかのベーコンと合わせるペアリングを試してみます。生クリームというスイーツ材料と、明らかに料理にしか使われない肉を合わせると食べるとどうなるのか、想像もつきませんね。そこで、ベーコンに生クリームをつけるという直球勝負を挑んでみました。

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「あ、これはいい!!」

 条件反射的ともえる第一声はこれでした。ベーコンと生クリーム、これは合います。生クリームの脂肪の甘い感じが、ベーコンの甘味を引き立てます。安物のベーコンでさえも脂肪分特有の味が濃厚でクリーミーに感じられ、おいしいです。これは良い組み合わせであり、応用の可能性も大だと思います。

 今回珍しい組み合わせとして希望を感じたのは「ダークチョコ+しょうゆ」「ミルクチョコ+味噌」「生クリーム+ベーコン」でした。おいしさには、化学物質の組み合わせだけでなく、食感や「何者であるかがわかる」など、別の要素も大切なことがわかりました。しかし、Foodpairing(R)を使って組み合わせのアイデアを探し、調理を工夫すれば、新たな料理を生み出すことができる可能性は十分にあることでしょう!

◎Foodpairing(R)(https://inspire.foodpairing.com/

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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