お菓子が膨らむ4つの科学的な理由
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 お菓子のサクサク、ふわふわした食感に欠かせないのが、お菓子の「ふくらみ」だ。ケーキやクッキーなど、最初はかたまりだった生地が膨らんでいく様子には、毎度ドキドキさせられる。いずれのお菓子も、オーブンの中で膨らむという現象は共通しているものの、実はお菓子の膨らみには大きく分けて4つのパターンがある。それぞれの膨らみの正体を理解して、お菓子作りの成功に役立てよう。

お菓子の「ふくらみ」4タイプ

1)空気の膨張によるふくらみ

cake(1)

 ふわふわとふくらむお菓子の代表格といえば、スポンジケーキではないだろうか。基本の材料は、卵、砂糖、小麦粉、バター。生地を作る過程では、空気を多く含むようにするのがポイントだ。

 生地の中に含まれた空気は、オーブンの中で熱されると、体積を増す。理科の授業で一度は耳にしたであろう「シャルルの法則」では、理想的には、気体の温度が1℃上がると、気体の体積は0℃の時の1/273だけ増加するとされている。生地中の空気の熱膨張が、生地のふくらみを作るのだ。とある実験(*1)からは、スポンジケーキは元の生地の体積の1.8倍ほどになることが分かっている。

2)水蒸気発生によるふくらみ

pie(1)

 一方、パイやシューなどは、スポンジよりもさらに膨らむ感じがしないだろうか。これは空気の熱膨張に加えて、水蒸気の発生に伴う体積増加が起こるためである。

 パイやシューを作るとき、材料には水が使われる。生地中に存在する水分(液体)がオーブンで熱されて水蒸気(気体)になるとき、その体積は水1mLにつき約1700倍にもなるようだ。気体が熱されて体積が増えるスポンジと比べて、液体が熱されて気体になるパイやシューの方が体積がより増えるのは、こうした理由のためである。とある実験(*1)では、シューの体積は元の生地の4-5倍になることが知られている。

3)酵母菌の活動によるふくらみ

pan(1)

 パンはお菓子なのかご飯なのか論争は一旦脇に置いておくとして、パンのふくらみもまた別の要因によるものだ。パン作りでは、強力粉、塩、バター、砂糖、水などと共に、イースト菌を加える。パンの体積が増加するのは、イースト菌を練り込んだ生地を30〜35℃程度の環境下で発酵している間である。

 菌にはそれぞれ活発になる温度帯があり、イースト菌の場合は30〜35℃なのである。発酵中、イースト菌は、生地中に含まれる1分子のグルコースから、2分子のエタノールと2分子の二酸化炭素を作る。イースト菌は、自身が活動するために必要な「ATP」というエネルギーを作り出すために、発酵を行う。こうしてできた二酸化炭素によって、パンが膨れていくのだ。

4)化学反応によるふくらみ

cookie(1)

 パンケーキやクッキーを作る時には、重曹やベーキングパウダーといった、膨らませることに特化した材料を加えることがある。

重曹の正体は「炭酸水素ナトリウム」であり、この物質は加熱をすることで、炭酸ナトリウム、水、二酸化炭素を発生させる。また、ベーキングパウダーとは、重曹である炭酸水素ナトリウムに「酒石酸」という物質が混合されているものである。ベーキングパウダーを生地に混ぜると、炭酸水素ナトリウムと酒石酸が反応して、酒石酸ナトリウム、水、二酸化炭素が発生する。

 どちらも、発生する二酸化炭素と水(加熱で水蒸気になる)によって、生地の膨らみが促される。なお、ベーキングパウダーの場合は加熱をしなくても反応が進む。さらに、生成する水と二酸化炭素も、重曹から生成するものの2倍量なので、ベーキングパウダーの方がより膨らむと言えるだろう。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

参考文献
*1 シュー生地

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