BAKEの新ブランド「DOU」研究開発の裏側をちょっぴり公開!
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 先週の5月25日(木)、BAKEの新ブランド「DOU(ドウ)」が池袋駅構内にオープンしました。今回の商品は、生どら焼き。BAKEが得意とする洋菓子の技術を取り入れながら、ふわっととろけるような新しい食べごこちの一品に仕上げました。

 DOUの特徴の1つは、スポンジケーキのような、ふわふわでしっとりしたどら焼き生地です。生地を開発する過程で、OPENLABでもいくつかの実験を行いました。この記事では、実験の様子を少しだけご紹介してみたいと思います。

どら焼き生地の「ふわふわ」と「しっとり」を確かめる実験

1)「ふわふわ」を数値化ーナタネ法

 ケーキのスポンジ生地を作る過程には、卵を泡立てる工程があります。卵の泡立て方には、卵白と卵黄を一緒に泡立てる「共立て法」と、卵白と卵黄を別々に泡立ててあとから混ぜ合わせる「別立て法」の2種類があります。作る人の技術や配合にもよりますが、共立て法と別立て法では、仕上がりが変わってきます。この2種類の方法を、どら焼き生地作りにも応用し、DOUの配合の場合はどちらの方がよりふわふわに仕上がるのかを、調べてみることにしました。

 今回は、食品化学の世界でしばしば使われる「ナタネ法」という方法を用いて調べました。

まず、共立て法と別立て法で作ったどら焼き生地を用意し、それぞれ重量を測定します(n=3ずつ)。

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次に、サラダ油の原料にもなる「菜種」を、容量MAXまで敷き詰めた容器を用意します。

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容器から一部の菜種をこぼしてスペースを空けます。ここに、どら焼きを入れ込み、こぼした菜種を可能な限り戻し、容量MAXまで敷き詰めた状態に戻します。

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容器に戻しきれなかった分の菜種をメスシリンダーに入れ、その体積を測ります。

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こうして得られた体積=どら焼きの体積ということになります。この体積を、あらかじめ測っておいた重さで割ることで、生地1グラムあたりの体積、すなわち「比容積」がわかります。比容積が大きいほど、空気を多く含んだ軽い食感であると考えられます。

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 共立て法と別立て法それぞれで作ったどら焼き生地の比容積をこの方法で測り、比べてみた結果、別立て法で作った生地のほうが有意に比容積が高いという結果が得られました。別立て法の生地のほうが、より空気を含んだふわふわな状態であることが推測できたのです。

2)「ふわふわ」を視覚化ー顕微鏡観察

 次に、実際に空気を多く含んでいるかを確かめるために、生地の断片を、走査型電子顕微鏡で観察しました。その結果が以下の通りです。

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 左が共立て法、右が別立て法で、それぞれ倍率は50倍です。黒く空洞になっている部分が気泡です。別立て法の方が気泡が大きく、空気を多く含んでいる様子が観察できました。
 別立て法では卵白を単独で泡立てます。卵白には「起泡性」という、空気を抱え込みやすい性質があります。卵黄にはそのような性質がありませんので、全卵の状態で泡立てるよりも、卵白だけで泡立てたほうが、より空気を取り込みやすかったのではないかと考えられます。

3)「しっとり」を確かめるー乾燥重量法

 さらに、今回のどら焼き生地は、提供前に生地を保管する温蔵庫に工夫があります。生地を焼いた後、そのまま提供するのではなく、さらに、高温・高湿の温蔵庫の中で蒸す工程をはさむことで、生地にしっとり感が付加され、よりおいしい生地が完成するようにできています。

 ここで、この方法がいかにしっとりした生地を作り出すかを調べるために、「乾燥重量法」という方法を用いて調べてみました。

 どら焼き生地を小さな断片に切り、その重さを計ります。それをアルミカップに入れ、105度に設定したオーブンの中で3.5時間乾燥させます。この間に、生地に含まれる水分をすべて蒸発させることができます。

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 その後、再度重さを計ります。最初に測った値からこの値を引いたものを、最初に測った値で割ることで、元の生地に含まれていた水分の割合が概算できるのです。

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 焼き上がり後、常温で保管、高温の温蔵庫で保管、高温+高湿の温蔵庫で保管、の3パターンで生地の水分の割合をそれぞれ測定したところ(n=20ずつ)、高温+高湿条件での水分の割合が有意に高いという結果になりました。つまり、DOUを蒸すときの高温+高湿条件は、よりしっとりしたどら焼き生地を提供するのに実際に役に立っていたことがわかりました。

 このようにBAKEでは、感覚に頼るだけでなく、おいしさの秘訣を客観的に示せるように研究開発を行っていくことで、お客様によりこだわりを伝え、よりおいしく味わっていただければと考えています。このような取り組みを多くの人に伝えられればと思いますので、もし面白いと思っていただけましたら、ぜひとも記事をシェアしていただけると大変嬉しいです!

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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