味を数値化!商品開発で役立つ「味覚センサー」のしくみや違い・比較
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 近年の食品業界では、商品開発や品質管理において、これまで人の感覚や評価に頼りがちであった食べ物の味を、数字として客観的に示そうとする試みが増えています。食べ物の味は、味覚と嗅覚によって知覚されます。このうち、味覚を数値で表すことができる「味覚センサー」の技術は日本で発明されました。現在は、原理の異なる2種類の味覚センサーが広く使われているようです。この記事では、2種類の味覚センサーのしくみを解説してみたいと思います!

国内発の2種類の味覚センサー

(1)九州大学とアンリツが発明!「TS-5000Z」

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(画像:http://dailycoffeenews.com/より)

 味覚センサー第1号は、1993年に九州大学の都甲潔教授と元アンリツの池崎秀和さんが共同開発した「SA401」です。これまでに何度か改良が重ねられ、最新機種「TS-5000Z」にまで進化しています。現在は、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジーとしてセンサーの開発や販売を行っており、パートナー会社である味香り戦略研究所が、味分析サービスやメーカーへのコンサルティングを実施しています。

 このTS-5000Zの特徴は、人の舌の性質を模した「脂質/高分子膜」という独自に開発された電極を使っていることです。人の舌が味を感知するときには、舌の細胞表面にある細胞膜で、味物質の到来を検出します。人の舌は、甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の5種類(基本5味)を感知できます。TS-5000Zには、この5種類それぞれに反応する脂質/高分子膜の電極が搭載されているのです。測定原理としては、これらの膜は平常状態でも電圧を発生しており、各電極表面に味物質が届くと、膜表面と味物質の相互作用によって電圧が変化します。平常状態と味物質到来時の電圧の変化を測定することで、味の強度を数値で表すことができるのです。分析サービスでは、口に入れた瞬間の「先味」と、飲み込んだ後も口に残る「後味」を構成する味として、基本5味以外にも「旨味コク」や「苦味雑味」などを含む11項目で味を表現することができます。

◎インテリジェントセンサーテクノロジー株式会社:http://www.insent.co.jp/

(2)慶應義塾大学が発明!「味覚センサー レオ」

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 次に開発された味覚センサーは、慶應義塾大学の鈴木孝治研究室で開発された「味覚センサー レオ」です。現在は、同研究室出身の鈴木隆一さんによってAISSY株式会社として事業化されており、味覚の受託分析や商品開発支援を実施しています。味博士として知られる鈴木隆一さんはメディア露出が多く、味覚データを用いたマーケティングやプロモーション支援にも強みがあるようです。

 味覚センサーレオは、人工知能にも使われるニューラルネットワークを用いている点が特徴的です。検出原理としては、まず基本5味(甘味、旨味、酸味、苦味、塩味)の味物質の濃度がそれぞれ、酵素電極やイオノフィアと呼ばれるセンサーによって検出されます。これらのセンサーは酵素反応による電子の移動やイオンの移動によって味物質の濃度を検出します。次に、その味物質の濃度が、すでに学習させている各濃度に対応する人の官能評価のデータと照らし合わされ、最終的に、人の舌で感じられる味の強さとしての数値が算出されます。ニューラルネットワークを用いることで、「ブラックコーヒーに砂糖を入れると苦味が弱まり甘味が強まる」といった味の相互作用を反映させることが可能となっています。また「先味」「後味」や「コク」「キレ」についても測定ができるほか、食品同士の「相性度」を数値化することもできるようです。

◎AISSY株式会社:http://aissy.co.jp/

 ※OPENLAB Reviewでも一度、チョコレートのテンパリングの有無による味の違いを調べてもらったことがあります!→ チョコのテンパリングは本当に必要?味覚センサーで味の違いを分析してみた!

 こうしたセンサーを用いて味を客観的な数値で表現することで、これまでにない斬新な味を生み出したり、味の改良の方向性を正しく決定できる可能性が高まりそうですね。食品の商品開発に携わる方は、味覚センサーの活用を検討してみても良いかもしれません!

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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