温かい飲み物に入れると溶ける「持ち運べる牛乳カプセル」を開発(独研究)
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 ドイツの研究者が、「持ち運べる牛乳カプセル」を開発した。糖の結晶で作られたカプセルは、温かい飲み物に入れると溶ける。ミルクティやカフェオレを外でも楽しめそうだ。研究成果は、2017年8月に 『Chemical Engineering & Technology』誌にて発表された。

次世代のコーヒーフレッシュ

coffee-cup-spoon-cappuccino

 コーヒーや紅茶にミルクを入れたいときは、ポーションタイプのコーヒーフレッシュを入れるのが定番であろう。しかし、コーヒーフレッシュは主に植物油脂からできており、本物の牛乳ではない。衛生的な問題から、フレッシュな牛乳を持ち運ぶのは難しく、外で気軽に本物の牛乳入りのカフェオレやミルクティを作るのは難しかった。

 そんな野外ミルク難民に朗報である。ドイツのマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルクの研究者らが、"持ち運び可能なミルクカプセル"を開発した。

Milk

 このカプセルは、「スクロース」や「エリスリトール」と呼ばれる糖類の膜の中に、牛乳またはコンデンスミルクが包まれている。常温の環境下や手に持った時には溶けないが、温かい飲み物の中に投入した時にはカプセルの膜が溶けて、中のミルクが出てくるようになっている。カプセル化されたミルクは、最大で3週間ほど日持ちするという。

糖を溶かしたミルクを冷却するとカプセルに

 プラスチック容器を不要とし、廃棄物の削減にもつながるエコなこのカプセルは、糖の結晶化を利用して作られている。氷砂糖や金平糖をイメージしてもらうと分かりやすいように、糖は結晶を作る性質を持っている。

milkset

 まずはカプセルの型を用意する(1)。この型の表面に、糖の結晶化を引き起こすための、小さな粒を付着させる(2)。ここに、スクロースまたはエリスリトールを高い濃度で溶かした牛乳を流し込む(3)。この状態で型を冷却していくと、牛乳中に溶けているスクロースやエリスリトールが型の表面の側に移動していき、結晶を作り出す(4)。十分に冷却を進めると、結晶の成長がとまり、外側は糖類で内側はミルクとなるカプセルができあがる。

 ちなみに、スクロースやエリスリトールは糖類であるため、それ自体に甘味がある。つまり、このミルクカプセルは、"ミルクとお砂糖"の両方を兼ね備えているのである。スクロースの方がエリスリトールよりも強い甘味を持っているため、スクロースで作ったミルクカプセルの方が、エリスリトールで作ったミルクカプセルよりも甘いという。

 開発を行ったMartha Wellnerらは、このミルクカプセル技術で特許を出願中である。今後は、より安定した膜を作るための糖の濃度や冷却温度条件についてさらに検討を重ね、実用化を目指していくという。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

【元論文】
 Wellner, M. and Ulrich, J. (2017), Design of Dissolvable Milk Containers for Convenient Handling. Chem. Eng. Technol., 40: 1247-1251.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ceat.201600714/full

 

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