カフェインを摂ると舌が甘さを感じにくくなる(米研究)
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 コーヒーや紅茶に含まれる苦味成分であるカフェインを摂取すると、甘さへの感受性が低下することが、アメリカの研究者によって示された。この現象は他の苦味成分では見られなかったことから、単に苦さが甘さをマスクするのではなく、カフェイン独自の分子メカニズムによるものだと推測されている。研究結果は、2017年8月に『Journal of Food Science』にて発表された。

コーヒーはおやつの甘さを弱めている?

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 甘いパンやお菓子と苦いコーヒーの組み合わせは、朝ごはんやおやつの定番の1つだ。しかし、実はコーヒーを飲んでいるときには、パンやお菓子の甘さが弱まっているのだと言われたら、信じられるだろうか。

 これまでの研究で、コーヒーに含まれる苦味成分であるカフェインをマウスに与えると、甘味への感受性が低下することが知られていた。アメリカのコーネル大学の研究者らは、このことが人でも起こるのかを調べるために実験を行った。

 実験では107人の参加者が集められ、2日に分けて次のような試飲を行った。まず、カフェインを取り除いたコーヒーを用意し、そこにカフェインと、別の苦味成分であるキニーネを、同じ強さの苦さになるようにそれぞれ加えた溶液を用意した。

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 参加者はこのいずれかの溶液を飲んだ後に、人が感じられる5つの味(甘味、旨味、塩味、酸味、苦味)の溶液を飲み、その味の強さを評価した。

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 その結果、甘味の強さの感じ方が、キニーネ溶液を飲んだときよりも、カフェイン溶液を飲んだときのほうが有意に低下していた。他の旨味、塩味、酸味、苦味については、どちらの溶液を飲んでも感じ方に差はなかった。これより、甘味の感受性を低下させるのは、カフェイン独自のはたらきであることがわかった。

カフェインだけが甘味を弱めるメカニズム

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 コーヒーを眠気ざましのために飲む人も多いだろう。カフェインは、苦味成分であるだけでなく、覚醒作用がある。私たちが眠気を感じる理由の1つは、脳の中で「アデノシン」という物質が、「アデノシン受容体」に結合するためだと考えられている。カフェインも同じく、アデノシン受容体に結合することができる物質だ。コーヒーを飲むと、カフェインは脳まで届き、アデノシンとカフェインの間で、アデノシン受容体をめぐって椅子取りゲーム状態になる。その結果、アデノシンが結合する割合が下がり、目が覚めるというわけだ。

 実はこのアデノシン受容体は、味を感じる部位である、舌の味蕾にも存在するという。そして、舌のアデノシン受容体にアデノシンが結合すると、甘味の感じ方を弱めることがわかってきた。その理由についてはまだ未解明ではあるが、これ故に、コーヒーを飲むと、カフェインが舌のアデノシン受容体にくっついて、甘味が弱まるのである。キニーネはアデノシン受容体には結合しないため、甘味は弱まらない。

 カフェインが甘味を弱める現象は、単に苦さ自体が甘味に影響を与えるのではなく、舌の上で甘味の強さを変化させる別のメカニズムによるものなのだ。食べ物の味は複雑であるため、普段は意識するのが難しいかもしれないが、私たちがコーヒーを飲んでいるときにも、甘味の感受性が低下している可能性は十分にあるだろう。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

【元論文】
 Choo E, Picket B, Dando R. (2017), Caffeine May Reduce Perceived Sweet Taste in Humans, Supporting Evidence That Adenosine Receptors Modulate Taste. J. Food Sci. 23 Aug 2017.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1750-3841.13836/full

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