今年のノーベル賞「体内時計」のしくみを科学に詳しくない人向けにわかりやすく解説!
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 2017年のノーベル医学・生理学賞は、体内時計の分子メカニズムを発見した3人の研究者らに贈られた。私たちが朝になれば目覚め、夜になれば眠くなるのは、体内時計のはたらきによるものだ。時差の大きな国に旅行に行って時差ぼけを感じるような時にも、私たちの体が一定のリズムを持っていることを実感させられるのではないだろうか。

 体内時計とはもちろん、体の中に時を刻む秒針があるわけではない。それでは一体、体の中ではどのように時間を感じているのだろうか。そのしくみを、たとえとイラストを用いながら解説した。

体内時計は「砂時計」に近いもの

 私たちの身の回りには、アナログ時計やデジタル時計など、さまざまな時計があるが、筆者としては、体内時計に一番近いのは「砂時計」であると考える。

 砂時計は、上の容器にたくさん入っている砂が、下の容器に落ちていくことで徐々に減っていく。ここで、時間を砂の量で示すことを考えてみると、以下のようになる。

t1 つまり、時間が経つにつれて、その時間の砂の量は少なくなる。実は、これと似たようなことが体の中でも起きている。ただし、体内時計の場合、砂は2種類ある。

 上の容器を朝として、下の容器を夜とする。

t2-2

 朝には、「PER」と「TIM」という二つのタンパク質でできた砂がたっぷり詰まっている。この2つのタンパク質は、朝から昼にかけて徐々に分解されていき、量が減っていく。

t3-3

 お昼ぐらいになると、"PERとTIMの砂"が完全になくなる。すると、今度は、「CYCLE」と「CLOCK」という別の二つのタンパク質でできた砂が増えてくる。(厳密に言うと、"活性化したCYCLEとCLOCKの砂"が増えてくる、が正しい。)t4-4

 夜になると、砂時計がひっくり返されて、"CYCLEとCLOCKの砂"が減っていき、"PERとTIMの砂"が増えてゆく。

t5-2

 次の朝がやってくると、また砂時計がひっくり返されて、朝の容器にはPERとTIMが満タンになった状態から、繰り返されてゆく。この周期は約24時間である。

 つまり、砂時計において、上の容器の砂の量と下の容器の砂の量で、時間を示していたように、体内時計は、朝の容器の”PERとTIMの砂”と、夜の容器の”CYCLEとCLOCKの砂”の量で、時間を示すことができるのだ。

 体内にはこれらの砂(タンパク質)の他にも、24時間周期で量が変化するタンパク質がさまざまに報告されている。今後OPENALB Reviewでも、食事と体内時計にまつわる研究を紹介する予定だ。

 なお、この記事は遺伝子やタンパク質に詳しくない人向けに、体内時計がどのような時計であるかをイメージで理解しやすいよう、非常に大雑把な表現で説明した。専門家の方は細かいところは目をつむっていただければ幸いである。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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