しっとり?パサパサ?食品のおいしさを左右する「水分」の測り方
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 食品に含まれる水分は、食品の印象とおいしさを大きく左右する。たとえば、お菓子においては、水分の扱い一つで、「しっとり」というポジティブな評価を得られることもあれば、「湿気ている」というネガティブな評価に転じてしまうこともある。食品を作る者にとって、食品中の水分をコントロールすることはとても大切だ。

 水分をコントロールするためには、まず、どの条件で製造した時にどれぐらいの水分を含むのかを把握する必要がある。この記事では、目に見えない水分の測り方を紹介する。

水分は食品のおいしさを左右する

蒸発させて重さを比較する

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 その一つは、食品を乾燥させて、前後の重量を比較するというもの。食品を高温の容器の中に入れて完全に乾燥させると、水分が蒸発した分だけ重さが減る。つまり、乾燥前後の重量の差の分だけ、水分を含んでいたと判断することができる。これは「加熱乾燥法」と呼ばれるもので、水分量を測定するメジャーな方法の一つである。この方法は、食品を製造するときの条件を決めるときにも役立つ。

“動く水”の割合を調べる

 はたまた、最適な製造方法で作っても、外気や包装の条件で食品の質が変わってきてしまうことがある。たとえば、夏場のお菓子は、人と同様に湿気にやられがちである。これを防ぐ方法を検討するときに役立つのが、「水分活性の測定」である。

 実は、食品の中に含まれる水分には、他の成分と結びついて動かない水(結合水)と、自由に動ける水(自由水)の2種類がある。

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 食品に含まれる水分のうち、動くことができる自由水の割合を示したものが「水分活性(Aw)」で、数値は0.000〜1.000の間で表される。たとえばAwが0.800であれば、その食品の水分活性は80%に相当すると言える。加熱乾燥法は自由水・結合水両方をあわせた全体の水分を測定するのに対し、水分活性は自由水のみを測定するところに違いがあるのだ。

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 また、水分含有量の多さと水分活性の高さは比例しない。たとえばジャムは、水分含有量は多いが、水分活性は低い。ジャムを常温で置いていても腐らないのは、多くの水分がジャムの食品成分と結びついており、カビがはえたり微生物が繁殖するために使える水分が少ないからである。

 水分活性は品質保持の面でよく使われるものではあるが、水分活性の増減を見ることで、室内の湿気などの環境が、食品に与える影響を調べることができる。今回は水分を含む方に注目したが、「パサパサ感」のような、水分が不足している状態を解決するときにもこうした測定は役に立つ。

 このようにして、目に見えない水分を、数値という形で客観的に表すことで、もっともおいしい食感を作る条件を探したり、品質を安定させたりすることにつながりるのだ。

 本稿の執筆にあたり、原稿の科学的整合性を丁寧にご検討くださった宮城大学の石川伸一先生に深く御礼申し上げます。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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