食べ物を「食事」ではなく「スナック」と認識すると、食べる量が増える(研究結果)
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 人が食べ物を「スナック」として認識して食べると、「食事」と認識した時よりも、その後の食物摂取量が増加することが示された。スナックとしての食物摂取は、食べる行為への注意を低下させ、食べた記憶を残しにくくするのだという。研究成果は、2017年11月に『Appetite』誌にて発表された。

食べる量を決めるのはお腹だけではない

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 私たちが何かを食べるときのきっかけといえば、空腹である。お腹が空いたら何かを食べ、満腹になると食べるのをやめるのが普通だ。しかし、人の摂食を左右するのは空腹だけではない。まわりの環境やその人の認知も、無意識的に摂食に影響するのだ。

 たとえば、テレビを見ながら、音楽を聴きながら、ゲームで遊びながらなど、何かをしながら食事をすると、食べる量が増えることが知られている。通常、何かを食べる時には、お腹が膨れてくるにつれて食欲が減ってくる。しかし、"ながら食べ"をしていると、テレビやゲームに注意が向くことで、食べることへの注意が低下し、満腹感への感度が下がるため、だらだらと食べ続けやすくなるというのだ。一人では食欲がない時でも、誰かと一緒だと食べられるようになるのも、同じ理由である。まわりの環境は食べる量を変化させるのだ。

 また、食べ物を説明する言葉も、大きな影響を与える。たとえば、パッケージに「健康」と書かれたクッキーは、そうでないクッキーよりも35%ほど多く食べられたという研究がある。また、ダイエットでカロリー制限をしている人でも、甘いものを「健康な食品である」認識すると、甘いものを食べる量が増えるのだという。こうした効果は「健康ハロー効果」とも呼ばれており、その人の食べ物に対する認知が食べる量を変化させる例である。

「スナック」と認識するだけで"食べた感"が薄まる

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 こうした中、イギリス・サリー大学のJane Ogdenさんらは、人の摂食を変化させる要因として、「スナック(snack)」と「食事(meal)」の違いに注目した実験を行った。

 80人の実験参加者に、最初に一定量のパスタを食べてもらい、そのあとで菓子類を自由に食べて良い時間を与え、参加者の菓子を食べる量や食欲の変化を調べた。このとき、実験参加者は4つのグループに分けられ、最初のパスタを食べる時の条件を変えた。

グループ1:パスタを「スナック」と表示し、「スナックの食べ方(容器にたくさん入った中から取って立って食べる)」で食べる
グループ2:パスタを「スナック」と表示し、「食事の食べ方(一人分が皿に盛られたものをテーブルで食べる)」で食べる
グループ3:パスタを「食事」と表示し、「スナックの食べ方」で食べる
グループ4:パスタを「食事」と表示し、「食事の食べ方」で食べる

 その結果、「スナック」と表示されたパスタを食べたあとでは、「食事」と表示された場合よりも甘いお菓子を食べる量が増えた。特に、M&Mチョコレートは2倍の量が食べられた。また、「スナックの食べ方」でパスタを食べたあとでは、菓子全体の消費量が増えた。つまり、人が食べ物を「スナック」と認識することは、そのあとで何かを食べる時の量を増やすことにつながることがわかったのだ。

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 「スナック」という表示や、「スナックの食べ方」が、あとで食べる量を変化させた理由としては、冒頭で述べたような、注意の散漫が考えられている。食事を取る時に比べて、スナックを食べる時には、スナックを食べることだけに集中するシチュエーションは少ないだろう。多くの場合、スナックを食べるのは、何か作業をしながらや、周りの人と会話しながらである。このように、人にとって「スナックを食べる」という営みは、食べることに集中するものではない。ゆえに、「スナックとして食べるのだ」という認識をもって食べ物を食べると、食べることへの注意が低下するのだと考えられる。こうして"食べた感"が弱まり、後の食物摂取量が増えるのだろう。

 また、「食事の記憶」もその後の摂食に影響することが知られている。これまでの研究で、食事の記憶がなかったり、記憶に障害がある人は、食物摂取量が増える傾向があることが分かっている。スナックとして食物を食べることによる注意の低下によって、「何かを食べた」という記憶が残りにくくなることも、「スナック」が食物摂取量を増加させることにつながると思われる。

 ダイエットを志す人は、何かを食べる時に「スナック」として食べるのではなく「食事」として食べることで、1日の食物摂取量を無意識的に減らすことに成功できるかもしれない。

 

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

元論文
 Jane Ogden, Chloe Wood, Elise Payne, Hollie Fouracre, Frances Lammyman. ‘Snack’ versus ‘meal’: The impact of label and place on food intake. Appetite, Volume 120, 1 January 2018, Pages 666-672
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195666317310590?via%3Dihub

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