カフェインハラスメントに注意!カフェインに弱い体質は遺伝的に決まっている
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 朝や仕事中の眠気覚ましにコーヒーを飲むことは、世界中で当たり前のように普及している文化の一つである。コーヒーの中に含まれる「カフェイン」に、私たちの脳を覚醒させるはたらきがあるのだ。しかし、最近では、カフェやコンビニで、カフェインを抜いた「デカフェコーヒー」をよく見かけるようになった。カフェインをガンガン摂取したい人にとっては、デカフェコーヒーの存在意義はイマイチ分からないのではないだろうか。

 しかし、お酒(アルコール)に弱い人がいるように、世の中にはカフェインに弱い人がいる。この記事では、カフェインに弱い人の症状や、カフェインに弱い体質の遺伝的な理由について述べる。「世の中にはこんな人もいるのか」程度に認知されると嬉しい。

カフェインで「つぶれる」人の症状

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 お酒に強い人と弱い人がいることは、多くの人が知っていることだろう。お酒が強い人は水のようにお酒を飲んでもへっちゃらであるが、弱い人はカクテル一杯でも顔が赤くなり、人格が変わり、吐き気を催し、飲み会の終わりまでトイレに篭り続けて。お酒に弱い人がお酒を飲むと、いわゆる「つぶれる」状態になることは、イメージがつきやすいだろう。

 実は、お酒と同じく嗜好品であるコーヒーやお茶にも、強い人と弱い人がいる。強い人はいつどのタイミングで飲もうと何の影響もないかもしれないが、弱い人は、コーヒーやお茶に含まれるカフェインによって、こんな症状が起こりうる。

・飲んだあと、体に力が入らず震える
・動悸がする、ドキドキする
・頭が痛くなる、気持ち悪くなる
・吐き気を覚え、食欲がなくなる
・夜、目が冴えてしまい寝付けなくなる

 こうした症状は周囲からは目につきにくく、お酒に弱い人と比べて、周りの人に伝わりにくいものである。カフェインに強い人にとっては、意味がわからず共感できなくても当然である。しかし、カフェインに弱い人にとって、ミーティングの時に当然のように出されるコーヒーや紅茶は地味に地雷となる。営業スマイルやポーカーフェイスの裏に、「出されたものを飲まないのは悪いが、飲めない…」と静かな葛藤を隠している人もいるのではないだろうか。

カフェインに弱い人は分解スピードが遅い

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 カフェインに弱いのは「神経質な性格で過敏に反応しているだけ」などと、精神論的なものではないかと感じる人もいるかもしれない。しかし、お酒に弱い人には、「肝臓でアルコールを分解する酵素の能力が弱い」という遺伝的な理由があるように、カフェインに弱い人にも遺伝的な理由があるのだ。

 一般的に、カフェインが体の中ではたらく時間は、飲んでから30分〜5時間であると言われている。5時間経ったころには、体の中ではカフェインの半分以上が分解され、尿とともに排泄されるのである。このとき、カフェインの分解を行うのは、肝臓の中にある「CYP1A2」という酵素だ。カフェインの8〜9割は、このCYP1A2によって分解されることが分かっている。

 実は、このCYP1A2には遺伝的に3種類あることが知られている。CYP1A2は、細胞の中の遺伝子を元に体内で合成されるが、CYP1A2の遺伝子の一部の配列には3パターンがある。

 遺伝子の情報は、A・T・C・Gの4文字が並ぶことで記述されているが、CYP1A2遺伝子の中の「イントロン1の734位」という場所のAという文字が、Cに置き換わっている人がいる。AがCに置き換わるというたった1文字の違いによって、代謝速度が遅いCYP1A2となってしまう。この部位の文字の並びには「AA」「AC」「CC」の3種類があり、代謝速度はAA>AC>CCの順で速い。カフェインの代謝が遅くなると、カフェインが体の中で長く強力に作用することにつながり、先に述べた症状に発展しうる。カフェインに強い人は「AA」の遺伝子、弱い人は「CC」の遺伝子を持っている可能性があるのだ。

of2(1) 一例として、筆者の場合は、これまでの経験から、就寝の12時間前までしかカフェインを摂れない。夜の24時に寝たい場合は、昼の12時がリミットである。13時に飲んでしまったら、25時まで顕著に眠れなくなる。アホらしいかもしれないが、実際に困っている。コーヒーや紅茶はスイーツのお供としても最高であるが、おやつタイムにコーヒーや紅茶を飲みたい場合は、デカフェにしなければならない。他にも、上質なお抹茶などを飲むとしばらく体が震えて、電車で立っているのが辛くなったりすることもある。

 今では、お酒に弱い人にはお酒を強要しないようにする動きが強まってきており、「アルコールハラスメント」の有害性についても理解が深まってきているように思う。コーヒーや紅茶は、飲む・飲まないの選択権が与えられているシチュエーションが多いので、「カフェインハラスメント」というほどのことは起こりにくいとは思うが、普段目立たない”遺伝的にカフェインに弱い人”の存在が少しずつ認知されていくことや、カフェインに弱い人でもスイーツとコーヒー・紅茶が楽しめる場所が増えていくことを願いつつ筆を置く。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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