2017年11月の食×科学ニュース5選【最新研究ななめ読み】
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アサイーの次に来る?新たなスーパーフルーツを発見

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 豊富な栄養成分を含み、疾患予防や美容効果が期待される「スーパーフルーツ」。日本ではアサイーが有名だが、南米の植物の中には、まだ知られていないスーパーフルーツがあるようだ。ブラジル・サンパウロ大学の研究者らは、ブラジルに自生する4種類のエウゲニア属のフルーツに、抗酸化作用や抗炎症作用があることを新たに発見した。これらのフルーツには「エピカテキン」と「没食子酸」と呼ばれる抗酸化成分が多く含まれているようで、フリーラジカル類からの酸化を防ぐことが実験で示された。また、フルーツから成分を抽出したものをマウスに投与したところ、炎症を引き起こす好中球が減少したという。食品添加物や機能性食品としての応用が期待される。

元論文:Antioxidant and Anti-Inflammatory Activities of Unexplored Brazilian Native Fruits

バラや蜂蜜らしいフレーバー成分を作る遺伝子の同定

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 ビールやワインの複雑なフレーバーの多くは、微生物による発酵の過程で生じる。中でも「フェニルエチルアセテート」という物質はバラや蜂蜜のような香りがするもので、食品のみならず香水などにも使われる。しかし、微生物の中でどのようにそれが合成されているかは不明な点が多かった。ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学の研究者らは、酵母菌の中でフェニルエチルアセテートが作られることには、「FAS2」と「TOR1」という遺伝子が鍵となっていることを発見した。これらの遺伝子の組み合わせ次第では、フェニルエチルアセテートが70%も多く作られるようになったのだという。こうした遺伝子の発見は、フレーバー成分をよりたくさん作る酵母菌作りを可能とし、工業的な利用に繋がると考えられる。

元論文:Identification of Novel Alleles Conferring Superior Production of Rose Flavor Phenylethyl Acetate Using Polygenic Analysis in Yeast

味の情報を味覚から脳に正しく伝えるしくみを発見

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 人の味覚は、甘味・旨味・塩味・酸味・苦味の5種類がある。舌の上には、それぞれの味覚に対応する「味覚受容細胞」があり、この部分で味を検出している。さらに、味覚需要細胞で検出した味を私たちが感じるためには、脳の神経細胞との接続が必要だが、その詳しいメカニズムは不明だった。アメリカ・コロンビア大学の研究者らは、甘味と苦味においては、味覚需要細胞は、正常な神経と接続するために、「SEMA3A」と「SEMA7A」の2つの分子を使い分けていることを明らかにした。この分子が正常に使われている時、甘味の細胞は甘さを感じる神経に結びつく。しかし、使われる分子を人工的に変えると、甘味の細胞が苦味を感じる神経に結びつき、甘いものを食べると苦く感じるようになるのだという。味覚のしくみの解明を進める研究だ。

元論文:Rewiring the taste system

油と水を混ぜるための新しい方法の開発

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 お菓子や料理を作る上で、油分と水分を混ぜ合わせる「乳化」の操作は欠かせない。自宅で食材を乳化させたい時には「乳化剤」と呼ばれるものを使えば良い。しかし、工業スケールでは、乳化に使える成分の幅を広げたい、乳化状態を長くキープしたいといった課題があった。アメリカ・マサチューセッツ工科大学の研究者らは、ナノサイズ(10億分の1メートル)で油分と水分を混ぜ合わせる新たな方法を開発した。油分と界面活性剤を混ぜた溶液に、ナノサイズにした水分を分散させて乳化させるのだそうだ。この方法では、混ぜ合わせられる素材の幅が広がるかつ、乳化状態を長くキープできるようになるという。乳化を必要とする食品や化粧品などの製造に新たな道を開く技術だ。

元論文:Creating nanoscale emulsions using condensation

食べ物を細菌感染から守れる"特殊な糖衣"を開発

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 マーブルチョコやヨーグレットのように表面がつるっとしたお菓子は、「糖衣」という糖分を含む膜に覆われている。糖衣はそのほかにも、薬を飲みやすしたり、フルーツの腐敗を防止したりするためにも使われる。カナダ・マックマスター大学の研究者らは、細菌を殺すはたらきをもつ「ファージ」というウイルスを組み込んだ糖衣の開発に成功した。「プルラン」と「トレハロース」の2種類の糖分でできた糖衣の中に、3種類のファージを組み込んだ。この糖衣に包まれた食品は、ファージのもつ抗菌作用によって、最大で3ヶ月間細菌の感染を予防できるのだという。ウイルスは通常私たちの敵であるが、食中毒の原因となる菌を殺してくれるような有用なウイルスをうまく使う未来があり得るかもしれない。

元論文:Long-Term Preservation of Bacteriophage Antimicrobials Using Sugar Glasses

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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