「カフェラテの層形成のしくみ」が、スイーツを進化させる?
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 カフェラテを作るときに層が生じるプロセスを解明した研究成果が、学術誌『Nature Communications』に先日発表された。密度と温度がことなるミルクとコーヒーを混ぜるとき、注ぐ速さが早いほど、多数の層が作られるのだという。液体のほかにゲルを使っても同様の層が作られたことから、プリンやゼリーなどのゲル状のお菓子への応用も期待できそうだ。

スピーディに注ぐほどたくさんの層ができる

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 温めたミルクにエスプレッソを注いでカフェラテを作ると、時間と共に層ができることがある。エスプレッソの層とミルクの層の二層にきっぱり分かれることもあれば、上の写真のようにいくつかの層に分かれることもある。普段はあまり意識しないかもしれないが、世の中にはこのような現象に深く興味を抱く人もいる。

 アメリカ・プリンストン大学の研究者らは、塩水を使った実験とコンピューターシミュレーションを行い、カフェラテの層ができるしくみを調べた。彼らの報告によれば、エスプレッソを温めたミルクに注いで室温で放置している時には、次のような状態になっているようだ。

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(画像:Laboratory layered latteよりキャプチャ)

 まず、密度の低い液体であるエスプレッソが、密度の高い液体であるミルクの中に押し込まれるが、浮力で押し返される。それにより、エスプレッソとミルクが混ざった部分が作られる。しかし、この混合部分は、場所により温度差が生じている。液体の密度と温度の差が、層の形成に影響する。

 低い温度の部分は、分子の動きが鈍くなることで密度が高くなり、下に沈んでゆく。しかし、周りが同じような密度になってくると、沈むのがとまり、層となる。この層の中は、渦のようにぐるぐると対流しているようだ。一方で、高い温度の部分は分子の動きが活発なため密度が低くなり、上の方に向かい、今述べたのと同じような原理で、上の方に層を作る。エスプレッソとミルクが混ざった部分において、一定の密度ごとにこのような層が作られることで、多数の層から成るカフェラテができる。

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(画像:Laboratory layered latteよりキャプチャ)

 また、こうした層は、注ぐ時のスピードが早いほどたくさんの層ができることが分かったという。写真は、透明の塩水(高密度)に青く染色した水(低密度)を加えることで、カフェラテの状況を再現した実験の様子である。注ぐスピードが遅い上段では、水と塩水が混ざる部分が少ないため、時間がたってもほぼ水と塩水の二層しか作られない。注ぐスピードが早い下段では、水と塩水が混ざる部分が多いため、その中で多数の層が作られる。

 カフェオレであれば、エスプレッソをミルクの中に注ぐスピードによって、層の数を変化させられると言えるだろう。

「層を見せるスイーツ」はトレンド

 さらに、この実験は、溶液のほかに「ゲル」を使っても行われ、ゲルにおいても注入速度をコントロールすることで、硬さの異なる複数の層ができることがわかった。ゲルとは、プリンやゼリーに代表されるようなプルプルとしたものであり、お菓子作りにも広く使われている。このため、ゲル化させるプロセスを工夫することで、多数の層から成る「グラデーションプリン」なるものを作ることができるかもしれない。

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 近年では、「層」を見せるスイーツが流行しているように思う。たとえば、「魔法のケーキ」と呼ばれるケーキは、混ぜて焼くだけで三層になることで話題となった。また、インスタグラムのスイーツ写真を眺めていると、層や断面を売りにしたスイーツが散見される。

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(画像:https://www.instagram.com/p/BcXmT2cl7Wh/よりキャプチャ)

 食品成分の物理的な性質をコントロールすることで、こうした見た目の面白いスイーツを生み出していける可能性があるだろう。発端は「カフェオレの層」であったが、身近な現象を深く追求することで他への応用の可能性が見出された、興味深い研究である。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

元論文
Laboratory layered latte

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