甘いものを食べすぎてしまう、新たな理由の発見か(研究結果)
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 「さっきは和食の気分だったけど、今は洋食が食べたくなった」といった具合に、食べたいものはその時々で変わる。食べたいものは”なんとなく”決まることが多い一方で、体の欲している栄養を含む食べ物が食べたくなるといった考え方もあるなど、私たちが何かを食べたくなる理由には不明な点が多い。

 しかし、最近の研究によれば、「炭水化物」が食べたくなることには、脳や舌も関係するらしいことが分かってきた。炭水化物は、ご飯や麺類などのいわゆる”主食”や、お菓子に含まれる砂糖や小麦粉の成分である。甘いものの摂りすぎにもつながる、炭水化物を食べ進める要因を見てみよう。

炭水化物を食べたくなる神経があるらしい

 「ある神経細胞を刺激すると、マウスが炭水化物を好んで食べるようになる」──このような研究成果が、今月17日、日本の生理学研究所の研究者らによって発表された(*1)。

 人やマウスは、食べ物の中に含まれる「グルコース」を優先的なエネルギー源として生きている。グルコースは炭水化物の一種で、食事から得た分は肝臓の中に貯蔵されている。食事を食べていないときには、肝臓にあるグルコースを少しずつ使っている。しかし、マウスの場合、1日断食をしていると、肝臓の中のグルコースを使い切ってしまう。マウスはふつう、高脂肪の食べ物を好むが、1日絶食したマウスは、脂肪よりも炭水化物を好むことが分かっていた。炭水化物を食べたほうが、エネルギー源としてすぐに使えるためだ。

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 同研究者らは、1日絶食したマウスが炭水化物を好むとき、脳の中の「CRHニューロン」という種類の神経細胞や、CRHニューロンの細胞内の「MAPキナーゼ」という酵素が活発になっていることを発見した。そこで、普通の食生活を送っているマウスのCRHニューロンやMAPキナーゼを人工的に活発にさせると、絶食してないにも関わらず、脂肪を食べる量が減り、炭水化物を食べる量が増えたという。このことから、CRHニューロンを活発にすることは、炭水化物を食べる行動を促すことに関係があると考えられた。

 CRHニューロンは、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンを分泌するはたらきをもっており、ストレスを受けることでCRHを分泌する。ストレスを感じているとご飯やお菓子を食べすぎてしまうといった現象は、CRHニューロンによって説明できる可能性が生まれた。

第六の味覚は「炭水化物味」か?

 また、昨年12月、オーストラリアのディーキン大学の研究者が、「人は"炭水化物味"を感じているかもしれない」という研究成果を発表した(*2)。

 人の味覚といえば、甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の5つであるが、近年の研究から、「脂肪味」「カルシウム味」など"第六の味覚"の候補が見つかっている。そして、今回候補として追加されたのが、「炭水化物味」である。砂糖やお米など、炭水化物の多くは甘いものとして認識されているが、「甘味」とは別の"炭水化物らしさ"とでも言うべきものを感じている可能性があると言うのである。

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 同研究者らは、34人の被験者を対象にして、炭水化物への感受性と、日頃の炭水化物の摂取量、そしてウエストサイズの関連を調べた。炭水化物の感受性は、グルコースなどよりもサイズが大きい炭水化物である「マルトデキストリン」と「フラクトオリゴ糖」の2種類を溶かした溶液を口に含むことで判定した。4種類の濃度の溶液を用意し、「味がある」と判断できた時の濃度を調べた(「甘味」とは別物となるように濃度を調節した)。

 その結果、炭水化物の感受性が高い被験者ほど、日頃から炭水化物をよく食べており、ウエストサイズも大きい傾向にあることがわかったのだ。私たちは誰でも甘い食べ物を好むが、炭水化物の味に敏感な人は、炭水化物に甘さ以外のおいしさを見出しているがために、食べる量が増えるのではないかと、研究者らは考えているようだ。

 この"炭水化物味"の研究はまだまだ未熟であるが、人の体は"炭水化物そのもの"に反応する性質を持つらしいことが明らかになってきた。こうした研究が進むことで、甘いものの食べ過ぎを防止したり、食欲をコントロールできるようになることに繋がり、人はもっと上手く食べ物と付き合えるようになるかもしれない。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

参考文献
*1 脂肪と炭水化物の食べ分けを決める神経細胞を発見
*2 Carbohydrate Taste Sensitivity Is Associated with Starch Intake and Waist Circumference in Adults

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