全自動バリスタロボットが作る次世代のカフェは、「体験」でおいしさが広がる場所になる。
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バリスタが厳選したコーヒー豆を使って、一杯一杯丁寧にハンドドリップで淹れる。昨今広まった「サードウェーブコーヒー」は、従来のコーヒーの大量消費やファッション化の流れから、コーヒーの原産地や淹れる過程にこだわる流れへと転換を起こしたムーブメントである。

このような流れが世に浸透したのは、良い食材を丁寧に調理することが、食のおいしさにつながるという共通認識が前提にあるためだ。しかし、コーヒーをはじめ、食のおいしさの次元はすでに次のステージに移り変わろうとしている。

「モノからコトへ」。そう呼ばれて久しい現代のおいしさは、「体験」によって生み出される。

全自動バリスタロボット「Cafe X」

アメリカ・サンフランシスコにあるコーヒースタンド「Cafe X」(https://www.cafexapp.com/)には、店員もバリスタもいない。注文からコーヒーの提供まで、すべて無人かつ自動で行われる。

cafe1Cafe Xには、人の手の代わりとなるアームを持ったロボットがいて、コーヒーマシンでコーヒーを淹れる作業を行ってくれる。
cafe3お客さんは、タブレットを通じて注文を行う。メニューは、「エスプレッソ」「アメリカーノ」「カプチーノ」「カフェラテ」など7種類。豆は、アメリカの著名バリスタが厳選した3種類から選べる。
cafe2注文を行うと、ロボットが動き出し、ものの数十秒でコーヒーが出来あがる。

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cafe4バリスタロボットの淹れるコーヒーは、一杯に時間をかけて丁寧に淹れるサードウェーブコーヒーとは対極に位置する存在とも言えるかもしれない。しかし、このロボットには、新しいおいしさを生み出す可能性があると、筆者は考える。

「体験」はおいしさを方向づける脳の調味料

おいしさを作り出す方法といえば、素材にこだわったり、新しい調理法を生み出したりするなど、「食べる対象そのもの」をイノヴェイトするのが常であった。

しかし、人の感じるおいしさの感覚は、味や香りだけではなく、見た目や噛んだときの音、その場の雰囲気、情報や文化など、五感をフルに総動員させることで生み出される。人がおいしさを感じる器官は、脳なのだ。

モノからコトに価値が移行しているのは、食の領域も例外ではない。単に質の良い食べ物というだけでなく、人に見せたいビジュアル、健康に良い感じがする、食感がおもしろい、そのレストランにいるのが楽しい。そうした認知を伴う体験全体が、これからの時代のおいしさの決め手になるのではないだろうか。

これまで、”注文したコーヒーを待つ時間”には、とりわけ大きな価値がなかった。しかし、コーヒーを淹れるロボットの動きは、純粋に見ていてワクワクする。自分が注文したものが、どのように作られるのかを見ながら待つのは楽しい。

コーヒーを淹れる動作自体は単純であるが、これがもっと料理のような複雑な食べ物であれば、よりいっそう見入ってしまうのではないだろうか。

実際に、製造の現場には、コーヒー以外の調理に特化した自動ロボットもある。たとえば、アメリカ・カリフォルニアのファストフード店であるCaliburgerは、バーガー作りをサポートするロボットを利用している。

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(画像:http://www.misorobotics.com/ よりキャプチャ)

また、以前も紹介したMoleyのRobotic Kitchenは、カニのビスクなど、複雑な調理を行うことができる家庭用調理ロボットだ。

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もし、こうしたロボットが注文カウンターから見える位置にあり、全自動でバーガーや料理を作る過程が見えたら、単に待つよりも、ワクワクしながら待てる気がする。演出次第では、人の期待感をさらに高めることもできるだろう。

全自動ロボットと、それをディスプレイする店舗のあり方は、”商品が提供されるまでの時間”に味付けを行う、調味料になると言えないだろうか。待っている時間に作られた期待感や楽しさの感覚は、食べ物のおいしさを増強させることだろう。

また、日本で目新しい食べ物やレストランに足を運ぶのは、女性客が多くなりがちな印象がある。しかし、ロボットであれば、男性客のウケもよさそうだ。

料理を口にするまでの体験全体でおいしさを作り上げる時流の先に、エンターテイメント性の高さと効率性を兼ね備えた調理ロボットは増えていくことだろう。

執筆:大嶋絵理奈(Facebookでフォロー

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